あらすじ
婚約を解消した翌朝。
王立芸術院の劇場運営官エステル・ヴァレリーに回ってきたのは、
王都の古劇場《青鷺座》の最終監査だった。
三年連続の赤字。
運営補助金は今月で打ち切り。
十二日後の秋祭り公演までに、自力で営業を続けられる見通しを示せなければ、青鷺座は閉館する。
ところが帳簿を調べたエステルは、不思議なことに気づく。
客がいないわけではない。
当日券が売り切れる夜さえある。
それなのに、赤字なのだ。
使われない招待席。
客の少ない曜日。
一公演ごとの出演契約。
古い設備。
まだ一度も主役を演じたことのない若手女優。
数字を変えれば、人の暮らしが変わる。
けれど情熱だけでも、劇場は残らない。
そんなエステルと衝突するのは、青鷺座で十二年働く舞台監督レオン。
「数字を見る前に、舞台を見てください」
最初はそう言われていたはずなのに。
閉館まで十二日。
一つの劇場が次の幕を上げるまでと、
仕事を選んだ二人が互いを知っていくまでの物語。
婚約解消×劇場再建×お仕事×じれじれ恋愛。
全12話予定の短期連載です。