あらすじ
幾多の種族が割拠する極東の「九龍帝国」。ここでは龍脈がもたらす魔素の偏りにより、不作と奇病、そして土地争いが絶えなかった。
帝国高官の家に生まれながら、現場主義と徹底的な観察眼ゆえに宮廷の薬師派閥から浮き、冤罪を着せられて辺境へ追放された青年・シオン。彼が流されたのは、魔素が乱れ、毒草と狂暴な魔獣が蠢く「死の泥濘地帯」だった。
そこでシオンが出会ったのは、かつて国の土を耕し、龍脈の声を聴く能力を持ちながらも、過激な変革を嫌った中央から「役たたず」として捨てられた元・地脈巫女の少女レン。
シオンの過剰なまでに詳細な薬草・生態観察眼。
レンの泥に塗れながらも理不尽な土地のルール(物理)をねじ伏せる圧倒的な泥臭い技術。
そして、二人のもとに集まる「追放されたけれど一芸に秀でた不遇な異種族タフガイたち」。
毒草を品種改良して特産品に変え、肥えぬ土に異種族の知識を混ぜて黄金の畑へと変えていく二人。しかし、彼らが開拓した土地が豊かになるにつれ、一度は彼らを捨てた帝国の腐敗した権力者たちが、その利権を横取りしようと蠢き始める。
「病を治すのも、土を肥やすのも、国を叩き潰すのも――すべては一本の草と、一匙の土からだ」
知略と汗と、容赦ないリアリズムで描く、新時代の国家再建&土地開拓ミステリー!