あらすじ

「この人に、ぜんぶ差し上げます」 千年ぶりの召喚に応じた女神は、跪いた百人を素通りして、真っ先にそう言った。 祝福は三つまで。四つ目を注げば器が壊れる。それがこの世界の理だった。彼女はそれを、居合わせた全員の前で破った。 天野碧、十七歳。実家は町の小さな洋食屋で、継ぐつもりでいた。もらったのは上限のない力と、返し方のわからない期待だった。 国は彼を勇者と呼び、救ってくださいと言った。碧は三万人の前で、こう答えた。 救えるかはわかりません。でも、飯なら作れます。 その日から彼がやったのは、水の出ない通りに井戸を掘ることと、腹を空かせた者の前に椀を置くことだった。魔王を倒す話は、まだ始まらない。 そして気づけば、飯を食わせた相手が増えていく。嘘の下手な女神。四年間、机の上で止められていた王女。番号で呼ばれていた獣人の少女。全員を数えている記録係。 北の空の下では、千年を生きた男が一人、南に立った光の柱を見上げている。

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小説を読もう2026/09/21
  • 現在の作品女神に愛されすぎた俺、飯を作っていたら魔王まで部下になったので世界一周の旅に出ます