あらすじ
農学系大学院で作物生産を研究していた女性は、異世界の小領主家の娘エレナ・ヴァルディエとして九歳で前世の記憶を取り戻す。
十三歳になったエレナが向き合うのは、借金と衰退に苦しむ没落領地だった。
けれど畑は、思っていたほど悪くない。
問題は、収穫した後にあった。
乾燥不足。傷んだ倉庫。鼠害。ずさんな記録。悪路。商人任せの流通。
せっかく育てた作物が、売る前に失われている。
ならば、増産する前に「失わない仕組み」を作ればいい。
小さな比較試験と記録から始まった改革は、やがて倉庫、道路、市場、徴税、そして軍の補給へと広がっていく。
剣で敵を倒すのではなく、食料を残し、物資を運び、人が生き延びる仕組みを作ることで戦う少女。
領地を立て直した先で、エレナを待つのは外交、戦争、王位継承争い。
畑と物流から始まった知識は、ついには国そのものを動かしていく。
これは、ひとりの少女が「兵站」で国を支え、自ら王冠を勝ち取るまでの物語。