あらすじ
目が覚めると、そこは異世界の魔王城だった。
先代魔王が勇者に討たれてから、およそ三百年。
人間の国々に不穏な動きがあることを察した魔族たちは、「勇者に対抗しうる存在」を条件に異世界から新たな魔王を召喚したらしい。
その結果が、家族に看取られ、大往生を遂げたはずの自分。
もっと適任がいると思うんだけど、絞り込みが甘いのでは?
文句はさておき、まずは三百年前の勇者について知るため、彼が残した手記を読むことに。
何度も複製され、文字の崩れた手記をどうにか読み解いていくと、勇者もまた異世界から召喚された人間だったことがわかる。
しかも、その正体は――前世の幼馴染。
三百年前の伝説の勇者は、かつての腐れ縁だった。
前世では知り尽くしたつもりでいた男が、自分の知らない異世界で何を見て、誰と出会い、どう生きて、どうして「勇者」と呼ばれるまでになったのか。
気になって手記を読む。
伝記を集める。
肖像画を探す。
芝居を見る。
ゆかりの地を調べる。
敵を知るための調査だったはずなのに、いつの間にかやっていることがおかしい。
さらに調べていけば、かつて勇者が築いた国は分裂し、彼の墓が残る国は、今や存亡の危機にあるという。
前世から面白いやつだったけど、今世でも面白いじゃねぇか。
これは、幼馴染の「第二の人生」が『推し』となった魔王が、その足跡を追いかけ、推しの残したものを守ろうとした結果、一つの国まで救うことになる物語。