あらすじ
大学入学共通テストの日。
試験会場へ向かっていた高校三年生のトモミは、目を覚ますと見知らぬ部屋にいた。
電気はない。水道もない。部屋の中なのに息が白い。
窓の外には石畳と馬車、教会の鐘。そして、どう見ても現代人ではない格好の人々。
……テーマパークだよね?
そう思いたかった。
けれど、彼女を助けてくれた女性シモーネに、淡い期待は打ち砕かれる。
スマホもない。お金もない。言葉もろくに話せない。
元の世界へ帰る方法も分からない。
そして、この世界には「呪文」があった。
ただし、それは勇者や魔法使いが使う特別な力ではなかった。
呪文を仕事にしている人がいて、親方がいて、組合がある。
生きていくには、仕事をしなければならない。
トモミはシモーネのもとで、呪文職人としての一歩を踏み出す。
これは、現代日本からやってきた理系女子高生が、自分の居場所を少しずつ広げていく、そんな修業時代。