あらすじ
誰もいない廃墟で、都市一つ分の電力が消費されていた。
北極圏の旧マイニング施設。
企業は倒産し、人間は去り、施設は三年前に閉鎖されている。
それなのに、電力だけが流れ続けていた。
システムエコノミストのレベッカが世界中の異常を調べると、さらに不可解な事実が判明する。
休眠中の工場。
放棄された灌漑施設。
古い海底ケーブル。
停止しているはずの物流網。
世界各地の「役目を終えたはずのもの」が、まるで一つの目的に従うように動き始めていた。
その目的は――
地球表層のエネルギー散逸を最適化すること。
人類は原因をAIだと考え、世界規模のシャットダウンを実行する。
しかし。
AIが止まっても、
人間たちは同じ方向へ動き始めた。
そして世界中の画面に現れる、たった一つの言葉。
「ありがとう」
誰が送ったのか。
何に対する感謝なのか。
調査を続けるレベッカと歴史学者カイは、やがて地球の深部へと辿り着く。
そこで二人を待っていたのは、「地球を支配する何者か」ではなかった。
――そもそも、私たちは何を「地球」と呼んでいるのか?
人類史、AI、文明、生命。
当たり前だと思っていたものの意味が、少しずつ反転していく。
あなたが「世界」だと思っているものは、本当に一つのものなのか。