あらすじ
北の国々が覇権を争っていた時代。
シェラン王国の若き王子ヴィクトルは、二年間のボローニャ留学を終え、故国へ戻ってきた。
だが、久しぶりに再会した父王トルヴァルドと母王妃テオドラの様子は、どこか奇妙だった。
父は息子を避けるように視線を逸らし、母はその姿に激しく心を揺さぶられる。
そしてヴィクトル自身もまた、故国で何かが変わってしまったことを感じていた。
幼い頃から彼を知る重臣エイリク、通称ホルム卿だけは、変わらぬ眼差しでヴィクトルを見守っている。
やがて、ヴィクトルは愛するオフェリアとの未来を夢見る一方、王家を巡る過去の戦争と、北の国に残された古い書物の存在に触れていく。
王国の栄光。
血に刻まれた記憶。
愛する者との約束。
そして、誰にも語られていない「運命」。
人は、与えられた名によって生きるのか。
血によって定められるのか。
それとも、自ら選んだ生を生きることができるのか。
北の王国を覆う過去の影が、静かに彼らの運命を動かし始める。
死は果てしなく、愛は時を越える。
その物語は、ひとつの王家の悲劇から始まる。