あらすじ
「高校2年の秋、お兄ちゃんが死んだ」
父、兄夫婦――一年足らずで愛する人たちを失い、心を閉ざした秀香。
悲しいはずなのに、涙が流れることはない。
「これからは僕がその穴埋めをするよ」
秀香の前に現れたのは兄嫁の弟の秋だった。
夕暮れの屋上で、誰にも言えない本音を聞いてくれる秋と過ごすうちに、秀香の心は少しずつ軽くなっていた。
クラスの誰とも交わらずに教室の壁の一部と化していた秀香は、合唱大会の練習を通して、クラスメイトのあかりとの距離が縮まりつつあった。
学校ではあかりと、屋上では秋と過ごす中で、秋に対しての違和感が積み重なっていく。
冷たい手、季節が変わっても同じ白いシャツ、電話にも出ない。
「秋くんは何者なの?」
合唱大会に向けて、クラスメイトの温かさに触れ、秀香は充実した学校生活を送り始める。
その一方で、秋と過ごす屋上に何かを置き忘れていることにも気づき始める。
『昨日』を抱えたままの16歳が、大切なものを思い出し明日へ踏み出すまでの物語。