あらすじ
夫の不倫を、妻は知っていた。
妊娠中だった美弥子は、夫・雅之が不倫していることに気づいていた。
けれど、美弥子は何も言わなかった。
娘・柚希が生まれ、家族は時を重ねていく。
海外赴任を経て、夫婦は再び穏やかな日常を取り戻したように見えた。
時は経ち
娘が孫を連れて実家を訪れた日、雅之が何気なく口にしたひと言が、美弥子の記憶を呼び起こす。
「柚希が二歳の頃は……」
あの頃のことを、雅之は覚えているのだろうか。
美弥子は、長い間胸にしまっていた真実を夫に告げる。
「私、ずっと知ってたの」
夫は知らなかった。
そして、知らないまま生きてきた過去。
夫の「知らない」が重なったとき、夫婦の間に残されていたものが静かに姿を現す。