あらすじ
ー 趣味:魔導書収集、辺境伯家の変わり者お坊ちゃんのお気楽魔導書集めの物語 ー
ある日、レオノールが屋敷の訓練場で魔導書の魔法を試していると、ぶわぁっと冷気が視界を支配した。
冷気で視界が悪くなり、一瞬で辺り一帯が氷で覆われる。
〈氷像の天神〉
魔導書の魔法だ。
「あ、やっばい。どーしようかな?」
レオノールが呑気に魔導書を捲っていると、
「何事だ⋯⋯!」
屋敷から連なる大扉から大勢の甲冑を来た騎士達がやってきた。
その先頭には大柄の重々しい風格の男がいる。
「父様!」
「レオノールか、大丈夫か!何があっ、た?」
「あ、えっとぉ〜⋯⋯」
指をくねくねさせながら隠せるはずもない大きな氷像をレオノールがどうにかはぐらかそうとしていると、
「レオノール様、ガーシス閣下、お下がりください!」
一人の騎士が割入って声をあげると同時に、氷像が拳を振り降ろした。
「全員、突撃!閣下と坊ちゃんを守れぇぇー!」
その一言で控えていた騎士全員が氷像へと一直線に走り出した⋯⋯が、
「止まれ」
レオノールがポツリと呟く。氷像が動きを止める。
氷像はレオノールの命令に従う様にゆっくりと拳を下げた。
「⋯⋯⋯⋯」
数秒の沈黙が流れる。
静寂が続く中、口を開いたのは、まさかの全員だった。
「「へっ⋯⋯??」」
なんとも腑抜けた声でガーシス並びに、騎士全員が口を揃える。
「まさか、これはレオノールがやった、のか?いや、そんなはず、上級魔法を十二の子供が、いやうん、そうだな、そんなことはない。」
ガーシスがボソボソと現実逃避している。
その様子を見たレオノールは段々と居た堪れなくなり、
「父様、すみません。この氷像、僕が、その、やりました⋯⋯ついでに周りの氷も⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
再び、場は静寂へと包まれた。
その沈黙は先程よりも長く重い空気が漂っていた。
いくらか時間が経った頃、再び全員が口を揃えて開く。
「「えぇぇぇぇえぇぇー?!!」」
声を抑える事もせず、全員が雄叫びを上げた。
その声に無駄な音は一つもなく、屋敷──街全体にへと凛と響き渡った。
数日後、街にはこんな単語で溢れかえっていた。
"神童"レオノール・ラス・シュタルツ、小さき魔導師。