あらすじ
新選組は「幕末最強の剣客集団」と呼ばれる。
だが、彼らは最初から武士だったわけではない。
土地もなく、家もなく、世襲の家臣団もない。
彼らの武士としての身分は、会津藩や幕府という他人の権力から借りたものだった。
局中法度の厳しさも、京都での強さも、すべてこの「借り物の正統性」から説明できる。
そして幕府が崩れたとき、新選組は単なる後ろ盾を失ったのではない。
自分たちが武士である根拠そのものを失った。
それでも彼らは戦い続けた。
なぜなら、失うものが最初からなかったからだ。
会津のような「急に全てを失う衝撃」を知らないまま、新選組は北へ、北へと戦場を移していく。
強さと滅びが、同じ根から生えていた男たちの物語。