あらすじ
突如世界に出現したダンジョン。
適応者として不死身になり、探索者になった輪音(リンネ)は、パーティーのリーダーに囮として見捨てられ、湖に潜むS級モンスターに丸呑みにされてしまう。
暗闇と胃液の中で、溶解と再生を繰り返す無限の地獄。
絶望の中、彼は喰われた冒険者たちの武器を使い、自らもモンスターの内部を喰らい、死闘を続けること三十年。
ついに魔物の腹を内側から引き裂き、地上への生還を果たす。
だが、外の世界は様変わりしていた。
かつて命懸けだったダンジョン探索は、安全な『動画配信(エンタメ)』のコンテンツへと変わり果てていたのだ。
浦島太郎状態の輪音は、ダンジョン内で二人組の少女たち・エル、キリカと出会う。
エルは、かつて輪音を裏切り、今は大手配信事務所の社長としてふんぞり返っている元リーダー・豪真の『実の娘』だった。
「お父様から、お前の地味な治癒能力は配信映えしないって……クビにされたんです」
泣き崩れるエルを見て、輪音は極悪な笑みを浮かべる。
三十年間、モンスターと様々なウイルスを喰らい続けた彼の不死身の肉体は、すでに人類の枠を超えた【バケモノ】へと変異していた。そしてエルの「治癒」は、輪音のウイルスを極限まで活性化させる最強のバフだったのだ。
「お前の『治癒』と俺の『ウイルス』があれば、世界一ド派手な配信になる。――俺がお前をトップ配信者にしてやる」
これは、三十年遅れで帰還した最強の不死身男が、復讐相手の娘を世界一のヒーラーにプロデュースし、すべての名声と視聴者を奪い尽くす、最狂の復讐と成り上がりの物語。