あらすじ
「あなたは、呪いを解くしか能がありません」
教会の解呪師ルカ・アシュレイは、上司であり婚約者でもあるリュシェンヌに、そう告げられた。
治癒や解毒に比べて、解呪の依頼は件数が少なく、記録は「処理済」の一行だけ。解呪師は不要と判断され、ルカは教会を追放され、婚約まで破棄される。
引き止める言葉はなかった。彼は引き継ぎ書を一冊残して、静かに教会を去る。
だが、教会は知らなかった。教会に届く重い呪いを、毎日、誰にも気づかれず片づけていたのが、その男だったことを。
追放したその日から、誰にも解けない呪いが街に現れはじめる。教会は「魔女の仕業」と言い出し、やがて魔女狩りの令まで求めはじめた。
そんな街で、ルカは一人の女性と出会う。教会が「元凶」と呼ぶ魔女、ヴィオラ。
「その手、どこで習ったの」
「習っていない。毎日、やっていただけだ」
追い出された翌朝にも、頼まれてもいない仕事を続ける不器用な男。魔女は、なぜかその男から目が離せない。
元凶と疑われた魔女を隣に、解呪師は呪いの広がりを止められるのか。
王城も貴族も動き出し、やがて頭を下げに来る教会と、後悔する元婚約者に、彼が返す答えとは。