あらすじ
※『きみの空模様』『雪の日は乾いている』に続く、悠馬と澪の物語。
高校三年生の春。
晴れているのに、遠くの山は白く霞み、その輪郭を曖昧にしている。春霞の向こうを眺めながら、悠馬は少しずつ一年後のことを考えるようになる。
進路希望、志望校、知らない街。
まだ何も決まっていないはずなのに、来年の春には澪が隣にいないような気がした。
昼の景色をぼかす春霞。夜空に淡く滲む朧月。
見えないものを見ようとするほど、未来は遠く霞んでいく。
そんな春の帰り道、二人の足音だけは、変わらず隣に並んでいる。
一年後は、まだ見えない。
それでも明日のことなら、少しだけ分かる。
霞の向こうにある未来と、今ここにある二人の時間を描く、春の物語。