あらすじ

「一年経ったら帰す。それまでは、好きにしていい」 借財のかたに嫁がされた夜、旦那様はそれだけ言って書斎へ戻った。好きにしていい、と言われたので、好きにさせていただくことにした。 翌朝、わたしは書斎の扉を開けて宣言する。 「本日の困りごとを、ひとつ承ります」 旦那様はこの国の宰相で、困りごとは山のようにあった。止まった決裁。揉めた使節。雨漏りの離宮。そして一年のうちに結ばねばならない、隣国との条約。 一日ひとつ。片付けるたびに、壁の暦を一枚破って箱へ入れる。箱の枚数が、わたしの働いた日数。 ところが。 二十五枚破ったのに、壁には三百六十五枚が、そのまま残っている。 「旦那様。暦が減らないのですが」 「……気のせいだ」 実家は今日も金の無心に来る。わたしが片付けた分だけ、あの家の嘘が一つずつ剥がれていくことには、まだ気づいていないらしい。

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カクヨム
カクヨム2026/09/20
  • 現在の作品「一年経ったら帰す」と言われて嫁いだので、旦那様の困りごとを一日ひとつ片付けています ~三百六十五日目が近いのに、暦が減らないのですが?~