あらすじ

身体が透明になってやがて消える病、透徹霞失病。そんな奇病患っている天野一華が唯一、自分の病気を知っている倉持亨に「夏休み計画」を持ちかける。最初は不思議に思っていた亨。ある日、公園で一華が六ヶ月あった余命が短くなったと聞かされた。複雑な感情になりながらも、亨は改めて一華と最高の夏休みを過ごすと約束する。美術館に行って、夏祭りで花火を見て、ちょっぴり刺激的な映画を見る。そんな楽しい時間が続く——はずだった。 一華は突然倒れてしまった。そして、亨が病院に着いた頃には、病院服の一華がいつもと違う様子で座っていた。そこに、一華の母を名乗る女性が亨に衝撃的な言葉を告げる。 「一華は、記憶喪失なのよ。そして——この病気は風邪と同じ、移る」 透徹霞失病にはまだ、おぞましい症状があったのだ。記憶喪失症。過去の記憶から段々と失われ、思い出すことすら叶わない。もちろん、誰かと過ごした記憶も、思い出も。 病気は唾液の交換をしてしまうことによって移ると断言された。 病室にいまだ佇んでいる一華はいつの間にかいつもの調子に戻り、亨に笑顔を向けていた。一華は日記ならぬ記憶ノートを毎日書いていたのだ。死に対する恐怖、醜い感情、亨と過ごした思い出をノートに綴っていた。 病院に行って数日後、一華から一本の電話がかかってきた。 「夏休み最終日。私をここから連れ出して!」 一華の最後の願いを叶えるべく、亨は夜に病院へ侵入し、一華を連れ出す。 向かった先は、一華が行きたかった海だった。そこで亨は記憶も曖昧な一華の言葉を聞いて、キスをして、砂まみれになる。 明け方になると、亨は移った病気のせいで、倒れてしまう。記憶はリセットされ、一華と過ごした記憶がまるっきり消えていた。 もうどうでもいいや。 海から人気のない山へ移動して、亨はずっと心惹かれていた一華に思いを告げた。 「…………愛してる。僕と心中してください」 ——これは、寿命わずかな少女と愛を知っていく少年の狂った恋の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/09/20
  • 現在の作品天の川が映る夜に、来世もふたりで心中を。