あらすじ

大陸中央、羊毛と鉄と麦で栄える多民族国家アルディア。この国の宮廷には三つの奇妙な役所がある――王宮薬院、錬金術庁、そして畜産騎士団。羊を数え、鉄を打ち、毒を煮る。地味を絵に描いたような三部署だ。 平民出身の薬師見習いシェラ・ノーツ(16)は、市井で毒殺事件の後始末ばかり押し付けられる皮肉屋の少女。ある日、王宮の羊の大量急死事件に呼ばれ、渋々足を運んだ先で、彼女は錬金術庁の変人長官イーヴォ・ラングと出会う。灰色の目をした三十路の男は、羊の胃の内容物を一瞥してこう言った。 「――これは殺しだ。羊じゃない。羊飼いを狙った」 イーヴォには誰にも言えない秘密がある。彼は前の生を覚えている男であり、そしてこの国の建国神話に書かれた賢者の正体を、たった一人知っている。 一方、畜産騎士団の若き団長ノア・エルステットは、名家の三男坊でありながら糞まみれで働く変わり者。彼は羊の死骸を前に静かに言う。「命を扱う仕事に、貴賎はねぇよ。ただし、殺した奴には筋を通させる」 毒を読む少女、鉄を鍛える転生者、羊を守る騎士。三人が組んだその日から、宮廷を蝕む聖遺物錬成計画という古い罪が、少しずつ、確実に、掘り返されていく――。

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小説を読もう2026/09/20
  • 現在の作品毒と鉄と、羊飼いの王