あらすじ
魔王との最終決戦。
勇者カイルへ放たれた最後の一撃を、幼馴染の魔法使いリオは術式を書き換え、自分へ逸らした。
魔王は倒れた。
カイルも生き残った。
――けれど、リオは魔王の魔法の影響で女になった。
身体は健康。
記憶も人格も男性だった頃のまま。
けれど、元の身体へ戻る方法はない。
ならば今の身体に慣れて、魔法使いとして戦後を生きていけばいい。
リオ自身は、そう考えていた。
問題は、二十年以上一緒にいる幼馴染のカイルだった。
昔なら肩が触れても、同じ部屋で眠っても、何も気にしなかった。
なのに今は、リオが近づくだけで固まる。
目が合えば逸らす。
その理由が分かると、リオは少し面白くなった。
「ボクの顔、そんなに好きなんだ」
どうやら女になったリオの姿は、カイルの好みのど真ん中だったらしい。
昔からモテるくせに恋人を作らず、誘いを断ってはリオの部屋へ来ていたカイル。
その幼馴染が、自分を見るだけで困っている。
最初は、それを面白がっていたリオだったが、このまま以前のように接することもできないのは少し面倒だ。
そこでリオは、二人の距離を元に戻すため、一つの方法を思いつく。
けれど、それをきっかけに、二十年以上変わらなかったはずの二人の距離も少しずつ変わり始める。
昔なら何でもなかったことが、妙に気になる。
知っているはずの相手なのに、知らない顔が増えていく。
[ハーメルン]でも連載しています。