あらすじ
大阪空想科学大学・徳島極限環境実験キャンパス。
時空構造境界工学研究室――通称「ワンダバラボ」の蓮見恭介教授は、実験室内部の空間を広げる「空間拡張実験」を行っていた。
ところが実験は失敗。
防火扉を開けた先に現れたのは、広くなった実験室ではなく、青空と草原、どこまでも続く森林だった。
「成功じゃない。重大なバグだ」
歓喜するより先に、教授たちはドローンを飛ばし、酸素濃度を測り、地質を調べる。
だが接続口は、幅わずか850ミリ。
大型重機も車両も通らない。
ならば木材は現地で切る。
鉄鉱石を見つけたら現地で製錬する。
設備は800ミリ以下に規格化する。
足りなければ工作ロボを作る。
平日は教授と大学院生が観測し、週末になると官僚、自衛官、重工メーカー勤務の幼馴染みたちが徳島へ集結。
研究、土木、製錬、ロボット開発、衛生管理――そしてBBQ。
そんな「研究室の日常」を続けるうち、彼らはやがて、この静かな大地そのものに隠された異常へ近づいていく。
これは異世界を征服する物語ではない。
異世界を、測って、作って、調べる研究日誌である。