あらすじ
嘘つきは泥棒の始まり
私は泥棒でも詐欺師でもない。
でも嘘つきなんです。
彼女にとって嘘は、人を騙すためのものではなかった。
傷つかないために。
誰かを傷つけないために。
その場を壊さないために。
生きていくために、身につけた鎧だった。
けれど、長いあいだ身につけていた鎧は、いつしか身体の一部になっていた。
捨てたはずの記憶。
捨てられなかった罪悪感。
捨てきれない優しさ。
そして、捨てることのできない自分自身。
ゴミ袋を抱えて歩く彼女が最後に向き合うのは、
部屋に溜まったゴミではなく、
これまで「生きるため」に積み重ねてきた自分だった。
これは、嘘をつく女の話ではない。
嘘をつかなければ、生きられなかった女の話だ。