あらすじ
切なさと甘さが混ざり合う初めてのキスを終え、十九歳の「私」はそれぞれの日常へと戻っていく。しかし、心も身体もすでにあの路地裏の重力に囚われており、鏡に映る自分の顔さえ大人びて感じられるほど、その恋は彼女の輪郭を確実に書き換えていた。もう引き返せないという悪趣味で甘美な実感を抱えながら、数日後、誕生日を控える「先生」への贈り物を探すためショッピングモールに足を運んだなるか。小さな雑貨屋のショーケースの奥で、真夜中のジャズを思わせる、強烈な色気を放つ銀色のオイルライターと運命的な出会いを果たすのだった。