あらすじ
水影玲は、道士である。
――少なくとも、映画の中では。
現実の彼は、生活費を稼ぐために映画スタジオで働いている、ただの貧乏学生だ。
法剣?
小道具。
護符?
小道具。
印を結ぶことも、呪文を唱えることも、妖怪を退治することも――全部、演技だ。
なぜなら、この現代社会において、幽霊や妖怪なんて映画や伝承の中にしか存在しないものだから。
玲も、そう思っていた。
――あの日までは。
ある日、彼は本物の妖怪と遭遇してしまう。
そして、最大の問題は、玲が戦い方を知らないことではなかった。
彼は、本物の道術を一度も学んだことがない。
玲が知っている「道士」という仕事は――
道士を演じる方法だけだった。