あらすじ

転移先で手に入れたのは、銅貨一枚の廃駅舎だった。 屋根は抜け、井戸にはスライム、暖炉はつかない。 ついてきたのは、魔王の王冠を斬ったと自称する、傷を極端に嫌う聖剣だけ。 元ゲストハウス店員の天野陸(リク)は、勇者にも領主にもなる気がない。 ただ、雨宿りできる場所が欲しかった。 最初の夜、灰色の耳を持つ十六人が扉を叩く。 ベッドは一床、鍋は穴だらけ。それでも彼は言った。 「泊まれる。最初の一晩は無料だ」 食べて、一晩過ごして、明日も残りたいと願う人がいる限り、古の帰巣炉は「家」を認める。 種族も、戦力も、忠誠もいらない。必要なのは明日のスープと、出ていける自由だ。 宿屋を開けば開くほど、人は集まる。 畑ができ、レンガが歌い、街道が延び、やがて荒野に国ができる。 ——なりたくて、なったわけじゃない。

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小説を読もう2026/09/20
  • 現在の作品銅貨一枚で廃駅舎を買っただけなのに、魔物の荒野で国ができてしまった