あらすじ
伯爵令嬢エリザは、王立郵便局で六年間働いている。
担当しているのは、王都と各地を結ぶ郵便馬車の運行計画。
天候、街道、荷物の量を見ながら、毎日の経路と時刻を組み直す仕事だ。
そんなエリザの婚約披露宴。
招待客の前で婚約者ユリウスが、彼女の結婚後について発表する。
「エリザは結婚を機に、王立郵便局を退職します」
会場から上がる祝福の拍手。
けれどエリザは、辞表を書いていない。
仕事を辞めるとも、一度も言っていない。
ユリウスに悪意はなかった。
伯爵夫人になれば忙しくなる。
毎朝早くから働かなくてもよくなる。
妻になるエリザを思って決めたことだった。
だからこそ、エリザは気づく。
この人は、私の人生について私より先に決めても構わないと思っているのだ、と。
翌朝、エリザはいつもの時間に郵便局へ出勤する。
そして折悪しく、豪雨によって王都へ続く主要街道の橋が通行不能になる。
何百通もの手紙と、今日中に届けなければならない荷物。
エリザは同僚たちと、新しい郵便路を組み始める。
婚約解消×郵便局×お仕事×じれじれ恋愛。
一話完結の異世界お仕事恋愛短編です。