あらすじ

塩が金銀と同等に扱われ、国家専売ギルド「塩座」が牛耳る城塞都市。民衆には有毒な鉛と灰の混ざる粗悪塩が配給され、病と飢えが路地裏を蝕んでいた。場末の宿屋「三叉亭(みつまたてい)」で目覚めた元料理人のソルは、冷えきった厨房で鍋を炒り、不純物を除去した奇跡の「純白の塩」を結晶化させる。鉄火箸を捨てて削り出した青竹串、備長炭の遠赤外線、そして三寸の高さから打ち下ろす完璧な塩梅。裏口から漂う香ばしい煙は、やがて飢えた狗人の少女ミル、没落した大店の料理長ノア、そして胃袋を痛めた民衆を惹きつける。鉛入り塩札の金融詐欺の告発、生酛純米酒と冷涼ビールの自作、大河を下る船旅、入浜式天日塩田の造成、そして壊血病に倒れる海賊との共闘へ――。これは、たった一本の串焼きから始まり、世界中の胃袋を救う大衆酒場チェーン『みつまた屋』を打ち立てた男の、乾いて温かな経済革命の記録である。

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カクヨム
カクヨム2026/09/20
  • 現在の作品塩と炭火の経済革命