あらすじ
聖女マリエルは、今日も変わらぬ勤めを果たす。
毎日四時間もの祈りを捧げる一方、癒しの奇跡を施せるのは二時間だけ。救いを待つ人々は後を絶たないが、彼女に許されているのは、神殿が選んだ者を順に癒すことだけだった。
神の愛を説きながら、自分は愛が何なのかを知らない。
そんなマリエルに、孤児の少年ロッドが問いかける。
「神様の愛はすばらしいのに、なんで僕のお父さんとお母さんは死んじゃったの?」
その両親を救えなかった日のことを思い出し、マリエルの中で押し殺してきたものが決壊する。
それでも教皇は祈りを増やせと命じ、婚約者の第二王子は、国へ貢献すれば二人の愛も深まると言う。
彼らが愛していたのは、マリエルではなく「聖女」という立場だった。
ならばもう、言われるがままの聖女ではいない。
マリエルは婚約を破棄し、神殿を出て、自分の力と人生を自分の意思で使うことを決める。
これは、愛を知らなかった聖女が自らの人生を取り戻し、やがて本当の家族の愛を知るまでの物語。