あらすじ
【ネタバレあり】
戦国の世で意識を失った侍『牙赫《がかく》』は、生死の狭間にある異界「ハザマ」で目を覚ます。案内人の少女『静《せい》』から、元の世界へ戻るには試練を越え、「英雄」となる必要があると告げられるが、牙赫自身はその肩書きに興味を示さない。
牙赫の前に現れるのは、彼と瓜二つの山賊『牙千《がせん》』、戦いを捨て愛する『菊』と生きる『無顎《むがく》』、完璧な英雄を目指す『蒼角《そうかく》』、圧倒的な力を持ちながら他人の選択を重んじる『王牙《おうが》』ら、牙赫の過去や可能性を映す者たちだった。彼らと刃を交え、生き方に触れる中で、牙赫は英雄になることではなく、自らの意思で人のために刀を振るう道を選ぶ。
一方、案内人という役割に自分の価値を求める静は、自ら進む牙赫を前に、かつていじめられていた経験も重なり、自分は必要とされていないのではないかと苦しむ。無顎たちとの暮らしを通して役割と人の生き方の間で揺れ、現実世界で一度選んだ死を再び受け入れかけるが、牙赫から「それでも共に旅がしたい」と告げられ、自ら「ここで死にたくない」と願い、生きることを選ぶ。
最後の試練で牙赫は、愛する幼馴染の姫『椿』と平穏に暮らすもう一人の自分と出会う。しかし与えられた幸福ではなく、自分自身として生きる道を選び、戦国の世へ帰還する。
牙赫は故郷と椿を守るため城を崩し、幸正と二人で敵軍へ突撃。宿敵・常勝との決戦に敗れ、敵兵の槍に貫かれながら立ったまま息絶える。だが常勝は牙赫を最強の敵として記録し、その名は「桜牙」として歴史に残る。
現代へ戻った静は牙赫との記憶を失いながらも、困っている者を見れば自ら一歩を踏み出せる人間へと変わっていた。牙赫の生き方は、名と記憶を越えて静の中に残っていた。
本作は「ハザマ」を通して、さまざまな人間の生き方と英雄の形を描くシリーズ第一作。
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