あらすじ
教室の扉を開けた瞬間に突き刺さる、無機質で冷ややかな視線。そこから逃げ出した不登校の少年・春名圭介の孤独を埋めていたのは、ベストセラー作家・三谷修三の小説『青海波のものたちよ」だった。
ある冬の朝、逃げ込んだゲームセンターで、圭介は一枚の百円玉を拾う。
声を掛けた相手は、どこか現実離れした雰囲気を持つ女子高生・美月まりん。彼女は、かつて江戸の街を守った武士の意志を継ぎ、現代の闇で人知れず刃を振るう秘密組織「青海波」の構成員だった。
「拾ってくれたお礼。これどうぞ」
確率機を一発で攻略し、リュックのキーホルダーから自分の好みを見抜いてみせた彼女の絶妙で心地よい距離感に、圭介の冷え切った胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
そして、遠くからその様子を目撃していた修三もまた、失われていた情景と創作の衝動を取り戻し、上着のポケットからメモ帳と鉛筆を取り出すーー。
交わるはずのなかった三人の運命を、一枚の百円玉が変えることとなる。
青い波のゆく先にあるものは、希望か、それともーー。