あらすじ
異世界転生したのは、人間ひとりではない。
乗員一五〇〇名、満載十二万八千トン――亡国最後の超戦艦、そのものだった。
敗戦寸前の東辰帝国。最後の切り札として建造された特殊潜航航空戦艦《天嶺》は、緊急出撃のさなか、艦も乗員もろとも未知の海へと消失する。
目覚めた先にあったのは、二つの月が浮かぶ異世界。
だが、そこは剣と魔法だけの牧歌的な世界ではなかった。
二百メートルを超える魔導戦艦。
飛竜を運用する航空艦隊。
海を荒らす巨大生物。
自己修復する異形の機装艦。
空を覆う超大型浮遊要塞。
そして、現代の列強すら災厄として恐れる神代の超兵器――。
異世界の軍事力もまた、常識外れだった。
それでも《天嶺》は、そのさらに上を行く。
四六糎三連装複合加速砲、集束光条砲、超高速誘導魚雷、誘導噴進弾。
海中へ潜航し、重力を偏向して空を飛び、巨大な穿孔衝角で大地すら穿つ。
その設計思想は、ただひとつ。
「一隻をもって、一個艦隊と為す。」
けれど、どれほど強大な戦艦でも、一隻だけでは国を守れない。
領土は治められない。
すべての海を同時には守れない。
そして科学の目だけでは、魔力も呪術も見通せない。
人間を中心に多種族が暮らす海洋王国。
空を支配する飛行文明。
深海に都市を築く者たち。
そして、敵として相対する人ならざる帝国。
異世界の人々と出会い、ときに肩を並べ、ときに砲火を交えながら、《天嶺》は新たな戦場を進んでいく。
帰るべき国を失った艦長・秋津宗一郎と、一五〇〇名の乗員。
彼らはこの世界で、何のために主砲を撃つのか。
亡国最後の超戦艦が、魔導と怪物と巨大兵器の海を四六糎砲で撃ち抜く、異世界転生超火力戦記。