あらすじ
はじめにあったのは、退屈だった。
世界を空から眺め続けていた、埃のような小さな生き物。
変わり映えのしない毎日に飽きていたそれは、ある日、美しい白い羽を持つ「天使」と出会う。
――あれになりたいなぁ。
ただ、そう思っただけだった。
天使の身体を手に入れ、自由に世界を飛び回れるようになったそれは、やがて自分とよく似たもう一人の存在を生み出す。
二人に悪意はない。
ただ、退屈なのが嫌いだった。
だから、世界を少しだけ変えてみることにした。
花を永遠に咲かせてみた。
人間たちを眺めてみた。
争いも、助け合いも、死も、彼らにとっては初めて見るものばかりだった。
けれど、二人の無邪気な遊びによって、世界は少しずつ壊れていく。
そんな滅びゆく世界で、二人は一人の少女と出会う。
「みんな、必死に生きてきただけなのに!」
初めて向けられた怒り。
初めて知った、人間の想い。
それまで同じものを見て、同じことを感じていた二人の間に、小さな違いが生まれる。
世界を壊した二人の天使と、
それでも生きようとした人々。
そして、滅びの先で始まる、新しい世界の物語。
これは、世界を滅ぼした存在が「人間」を知るまでの物語。
そして――一度終わった世界が、もう一度始まるまでの物語。