あらすじ
「《解呪》だぜ? 二年いて、呪いを解いたとこなんか一度も見てねえ」
Bランクパーティを追放された雑用係、ルカ・ヴェント。十六の洗礼で引き当てたのは、ハズレ中のハズレと笑われたスキル《解呪》だった。
出ていく間際、ルカは一つだけ告げる。
「僕がこのパーティに掛けていたものを、返してもらいますね」
――リーダーの《鉄壁の加護》。剣士の《剛力》。魔法使いの《詠唱短縮》。
その全部を、二年間、毎晩ほどけないように繋ぎ留めていたのはルカだった。
指を弾く。黒い糸が三本、ほどける。
「じゃあ、どうぞご自由に。生まれつきの強さで戦ってください」
その日のうちに、元仲間たちは自滅した。
自慢の魔鎧の重さに膝を折り、愛用の大剣を持ち上げられず、詠唱は途中で消える。
なぜなら、この世界の《ステータス》も《スキル》も《身分の加護》も、生まれつきなどではなかったから。
すべては古代に敷かれた一つの大呪から吊るされた、ただの借り物。
そして、それが視えるのも、解けるのも、この世界でルカただ一人。
Aランクの剣士から、剛力を。
貴族から、生まれつきの特権を。
少女の首から、隷属の刻印を。
剣を抜かず、魔法も使わず、ただ「借り物を返させる」だけで格上を無力化していく少年の噂は、やがて世界そのものを縛る大呪へと辿り着く。
これは、殴らずに最強である男の物語。
――毎日更新。第3話で、最初の貴族が地面に沈みます。