あらすじ
もし、明治政府が幕府の結んだ不平等条約を、そのまま継承しなかったらどうなるか。
日本の国家元首は天皇なので、幕末の井伊直弼らに国を代表する権利はない。
慶応3年、大政奉還。岩倉具視、木戸孝允、大久保利通らは、通商は続ける一方、領事裁判権や関税自主権を奪う条項まで新政府が引き継ぐ必要はないと判断し、列強へ対等な新条約を提示する。
しかし列強はこれを一方的な条約破棄とみなし、武力を行使した。
海では圧倒的に不利な日本は、艦隊決戦を避ける。国内の内戦を止め、天皇と政府を京都から飯田へ移し、英国軍を山地の細い街道と長い補給線へ引き込む。横浜と長崎は英国軍に占領されるが、日本は米国と早期講和し、横須賀と佐世保を長期提供。英国占領地の近くに米国人、米国船、米国資産を置き、徴発や市民への暴力を日英間だけで処理しにくくする。
さらに豊川には米国資本のレミントン工場を誘致。飯田攻略の補給口となる豊橋港の後背地にも米国権益を置き、英国軍の行動を制約していく。
英国は会戦では勝つ。それでも日本は降伏しない。橋を落とし、道路を切り、工場を増やし、英国軍が進むたびに補給負担を増やす。やがて日本への増派は、インドや中国など他地域の駐屯兵力まで削り始める。
誰も予想しなかった戦争は30年続いた。
そして戦後、日本には日清戦争も日露戦争も起こらない。巨大戦艦より商船、海外領土より工場と鉄道を選んだ日本は、史実とはまったく違う20世紀へ進んでいく。