あらすじ
「俺は一人じゃ、大したことがない」
十八歳の冒険者ロイド・ヴァルドには、不思議な加護がある。
神殿から告げられた言葉は――
『己より力の及ばぬ者に寄り添うとき、その身に力は宿る』
これまでの経験から、ロイドはその力を「自分より弱い仲間がそばにいるほど強くなれる加護」だと考え、便宜上《弱者共鳴》と呼んでいた。
そんなロイドが出会ったのは、パーティーを外された駆け出し魔法使い、フィア・エルネ。
彼女が使えるのは、髪を揺らす程度の弱い風魔法《微風》だけ。
敵を吹き飛ばせない。
派手な攻撃もできない。
けれど、その風は驚くほど正確だった。
「弱いけど、使えないわけじゃないだろ」
弱い仲間がいることで強くなるロイド。
弱い魔法だからこそ、自分にしかできない使い方を探していくフィア。
互いの足りないものを補いながら、二人は冒険者として少しずつ成長していく。
しかしロイドは、まだ知らない。
自分で《弱者共鳴》と名付けたその加護が、本当は何に応えて力を与えているのかを――。