あらすじ

二年続きの冷夏と長雨。北の寒村で畑を守る十五歳の農民の娘イーダは、黒麦の穂に生えた黒紫の角を見つけて青ざめる。前世は食品メーカーの品質保証担当。あの角が人を殺すカビ、麦角だと知っているのは、この国で彼女だけだった。 同じ頃、王都では貴族たちが食卓で次々に倒れていた。手足が焼ける。見えない虫が這う。指先が黒く腐る。侍医団は「毒殺」と断じ、王太子派と第二王子派は互いを犯人だと指さして睨み合う。 「毒殺じゃありません。うちの畑のカビです」 ただの農民の言葉に、宮廷が耳を貸すはずがない。……はずが、妙に丁寧すぎる言葉遣いと、聞き慣れない専門用語のせいで、なぜか「素性を隠した賢者」「大地の声を聞く聖女」と勘違いされていく。否定すればするほど、深読みされる。 畑に帰りたい。けれど、前世で「あとで」と言い続けて大切な人を失った彼女は、もう見過ごさない。真相は、天候だけでは説明のつかない場所へ続いていた。誰が、麦の「選別」をやめさせたのか。 聖女ではございません、農民でございます。

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小説を読もう2026/09/20
  • 現在の作品聖女ではございません、 農民でございます ~毒殺事件の犯人は、うちの畑のカビでした~