あらすじ
長く起きている者ほど努力家で、眠る者ほど怠け者――そんな王都で、レン・アルヴァは毎日九時間きっかり眠っていた。
授かった固有スキルは《休養》。未知の技を与えることも、眠るだけで強くすることもない。昼間に自分で失敗し、観察し、試した経験だけを、深い睡眠のあとに再現できる動きとして定着させるスキルだった。
昨日は見切れなかった魔獣のフェイントを、今日は斬る。
三か月消えなかった剣姫セレナの悪い癖を、一晩ごとの検証で修正する。
やがてレンたちは、九十分の睡眠で集中を戻せる本物の短眠冒険者レグルスと、百時間迷宮で競うことになる。
ところが競技中、迷宮の出口が消滅。眠った人間を狙う夜行種に囲まれ、通信まで偽装されてしまう。
必要なのは、全員を九時間眠らせることではない。
九時間、五時間半、九十分。それぞれ違う休息を組み合わせ、誰か一人が倒れても回る仕組みを作ることだ。
これは、睡眠を削れない青年が昨日の失敗を捨てず、仲間とともに「休む時間」を戦場から取り戻す物語。