あらすじ
魔族から日本を守り抜いた十二人の勇者。
だが、平和が訪れた瞬間に待っていたのは、賞賛ではなく裏切りだった。
「勇者など、最初から危険な戦争犯罪者だったのだ」
メディアと政府に手のひらを返され、濡れ衣を着せられた俺たちは永久収監施設へと叩き落とされる。
食事も、睡眠も、老いすらも必要としない身体。
かつて日本を守るために振るった力は、今ではただ孤独な牢獄に耐え続けるためだけに残されていた。
同じ牢獄には、首を落とされようと死ねない不滅の勇者がいた。
彼女が何度も殺され、そのたびに精神を削られていく悲鳴を、俺はただ壁越しに聞くことしかできなかった。
――だが、その平和そのものが、魔族の仕掛けた罠だった。
勇者を排除し、無防備となった日本へ迫る魔族の再侵攻。
混乱の中、俺たちを縛っていた力が弾け飛び、自由を取り戻す。
一人で逃げることだってできた。
けれど、ボロボロになったあの少女を置いていくことなんて、俺にはできなかった。
崩壊していく東京を背に、俺たちがたどり着いたのは、小さな農村。
そこで差し出されたのは、何の変哲もない、温かい一杯の飯だった。
「冷めないうちに食いな」
誰かと食卓を囲み、人間として扱われる。
ただそれだけのことが、どうしようもなく愛おしく、涙が溢れた。
英雄でも、怪物でもない。ただの「一人の人間」として、この場所で生きていきたい。
そう願った矢先、村に魔族の威圧的な支配が迫る。要求されたのは、収穫の七割という凄惨な搾取。
「俺は、勇者だ」
怪物と恐れられる覚悟で正体を明かした俺を、村人たちは「仲間」として抱きしめてくれた。
だから、俺は決めた。今度こそ、俺を人間にしてくれたこの大切な居場所を守ると。
襲い来る魔族の軍勢を前に、俺は構える。
俺の能力は、自分から人を傷つけることはできない。ただ――向けられた悪意を、そのまま返すだけ。
「――そちらが攻撃してきたので、返します」
捨てられた元最強くたびれおっさんの、圧倒的な反撃が始まる。