あらすじ
「あなたの寿命、売ってみませんか?」
借金と貧困に追われる28歳の佐伯悠斗は、ある夜、奇妙なアプリ《LIFE MARKET》を見つける。
そこでは、自分の寿命を1年100万円で売ることができた。
最初は半信半疑だった悠斗だったが、本当に100万円が振り込まれたことで考えが変わる。
「一年くらいなら、なくなっても変わらない」
そう思った彼は、次々と寿命を売り、ついには10年を1000万円に変えてしまう。
借金を返し、仕事を辞め、人生を立て直していく悠斗。
しかしある日、取引履歴を確認した彼は異常なものを目にする。
自分が売った寿命の購入者――。
そこに表示されていた名前は、
《佐伯悠斗》
自分自身だった。
しかも購入日は、まだ訪れていない未来。
やがて未来の自分から届く。
「もう寿命を売るな」
というメッセージ。
なぜ未来の自分は、過去の自分が売った寿命を買っているのか。
そして十年後。
38歳になった悠斗を待っていたのは、余命わずかという残酷な宣告だった。
金が欲しくて売った十年。
生きるために買い戻す十年。
そして彼は最後に、自分の寿命よりも大切な存在の「残り時間」を知ることになる。
寿命とは、ただの数字なのか。
一年の命には、いくらの値段をつけられるのか。
「時間を売れる世界」で、一人の男が最後にたどり着く答えとは――。
命と家族、そして“明日を生きる価値”を描く、タイムリープ×ヒューマンSF短編。