あらすじ
二十九歳の古賀澄乃は、人付き合いを避けているわけではない。ただ、一人でいることを心地よいと思っている。映像作品の音声編集を仕事にする彼女は、環境音を録音するため、毎晩同じ時刻に宵待公園を訪れていた。
そこには澄乃以外にも、決まって現れる四人がいる。
夜行性の鳥を撮影する高校生・梶原律。
離婚した娘との距離を抱え、何かを探し続ける配送員・野々村徹。
道路向こうのマンションを見つめ続ける薬局勤務の女性・香坂紗枝。
認知症となった妻との思い出につながる物を探す老人・伊吹玄一。
年齢も境遇も違う五人に共通しているのは、人との距離を好むことだった。互いに深入りせず、名前すら知らない。その関係に誰も不満を抱いていない。
ところが、公園周辺で相次ぐ小さな事件をきっかけに、五人は少しずつ言葉を交わすようになる。そして、それぞれが夜の公園へ通い続ける本当の理由も明らかになっていく。
同じ頃、宵待公園周辺では不審火が連続して発生していた。
動画サイトでは事件を追う配信者が現れ、工事関係者、近隣住民、そして毎晩公園にいる五人にも疑いの目が向けられる。
自分たちへの疑いを晴らすため、五人は映像、音声、過去の記録を持ち寄り、犯人を誘い出す罠を仕掛ける。
計画は完璧だった。
それでも犯人は、誰にも見つからず火をつけた。
逃げ道など存在しないはずの場所で。
澄乃は一つの可能性に辿り着き、今度は仲間自身を欺く罠を仕掛ける。
そして捕まった犯人は――五人のうちの一人だった。
事件は終わった。
誰もがそう思った。
しかし澄乃だけが気づく。
犯人が語っていた「夜の公園へ来る理由」と、火災が始まった時期が一致していない。
小さな日付の矛盾。
録音に残された三回の機械音。
火災が起こる直前だけ動いていた人物。
その先にあったのは、もう一人の真犯人と、人生を失ってでもその人物を庇おうとした男の理由だった。
孤独を愛する五人が、誰かとつながる物語ではない。
一人で生きることと、誰かの苦しみを見なかったことにすることは同じなのか。
『NIGHT PARK』は、静かな夜の公園を舞台に、孤独、家庭、罪、そして再生を描く群像ミステリーサスペンス。