あらすじ
「孝明。単刀直入に言う。次の当主はおまえじゃ」
じーさまは唐突にそんなことを言った。
「なんでぼくなんですか?」
なぜぼくなのか。ぼくの前にもっとふさわしい人がいる。まだ12歳のぼくがどうして神守坂神社を継ぐことができるだろう。神道にも精通していない。知識もない。肉体的にも精神的にもまったく未熟なのに、だ。それにぼくは落ちこぼれだ。式神すら満足に扱えない。いつも失敗ばかりで、周りの人たちからだって、あれが将来の家長かと笑われているのだって知っている。
「おまえが選ばれたからだ」
じーさまは白い毛が混ざりはじめたあごひげをゆっくりと撫でた。ますます意味がわからない。
「誰に? 神様?」
「そうだ」
猫に縛られた家を継ぎたくないぼくはある人物に心の中にあるものをすべて話すことになるのだが――