あらすじ
統合記録整合室の監査官・志賀朔の仕事は、記録の食い違いを見つけ、正しい方へ確定させることだ。届出と台帳、議事録と報告書。どこかに矛盾があれば、赤で囲い、正しい方を残す。ほとんどは人の入力ミスで説明がつく。
説明がつかない矛盾だけが、この部屋に上がってくる。
ある木曜の夜、帰宅した部屋は「最初から一人分」に整っていた。歯ブラシは一本。契約書の入居者は一名。冷蔵庫の中身も、洗濯機の設定も、すべて一人分。それなのに体は、ベッドの右半分を空けて眠る。
通話履歴には、存在しない番号との四十二分が一件だけ残っていた。文字起こしに残った言葉は、一行。
「帰ったら、ちゃんと——」
台帳にない町名。飛んだ番地。時間の合わない壁。
記録の側に立ってきた男が、記録から消された誰かを追い始める。
全6巻・43話、執筆済み。毎日朝7時と夕方17時半に更新し、10月9日に完結します。
※本作はカクヨム・小説家になろうにも掲載しています。