あらすじ
同級生の高橋くんには困ったものだ。
交友関係が広いのはいいのだが、口が軽いのが玉に瑕。
中学生の夏休み、月の満ち欠けの自由研究をしていた「ぼく」のもとに、
知らない番号から着信があった。夜の神ニクスからだ。
「きみ、月のデザイナーにしてあげるからやりなさい」
高圧的な態度が鼻につき、断ったのだけど
激しい勧誘の末、恋愛相談を条件に月のデザイナーの仕事を始めた。
ガウディが手掛けた廊下の先にある《夜空のデザイン室》
宇宙そのもののその一室には、イーゼルに置かれたキャンバスとちいさな椅子が一脚。フィンセント・ヴァン・ゴッホや夏目漱石と夜空の月を毎夜描く仕事に次第に熱中していく。
ある日、密かに想いを寄せている同級生の北山葉月から告白したい日の月のデザインを依頼される。
ぼくはその相手が自分であると思い込む。しかし、待っていたのは初恋の終わり。
美術部員の後輩で、葉月の妹・香月との夏祭り、亡き祖母の記憶、祖母が好きだったりんご——ぼくは、円を描き続ける。
白いキャンバス、あるいは透き通った夜のキャンバスへ。