あらすじ
「離せ」――絶世の花魁が、扇の陰で、おっさんの地声で凄んだ。
蔵前の金貸し・徳兵衛、五十歳。取り立てでしくじり、嵌められ、身ぐるみ剥がされて、吉原一の花魁「胡蝶」の体に。三日後には、この体の初めてが、好色な札差に、金で競り落とされる。
抗った。だが、非力な体では届かず、水揚げの夜、俺は奪われた。屈辱の夜は明ける。だが、俺は泣き寝入りする女にはならない。中身は、裏社会と算盤を知り尽くした、業突く張りの金貸しだ。
楼主の裏帳簿。抜け荷の証拠。汚い金の流れ。奪われた屈辱を証文に書き換え、利子をつけて取り立てる。売られた身が、籬を内側から呑み込む、したたかな下剋上。
※全10話・完結済み