あらすじ
十八歳の成人の儀で、俺のスキルは【複式簿記】と出た。
広間が静かになって、それから笑い声が起きた。
上司は俺の肩を叩いて言った。
「よかったな。数は数えられるぞ」
三日後、俺は王都から馬車で四日の第七迷宮に飛ばされた。
十二ある迷宮のうち、下から二番目。前の帳簿係が失踪した場所だ。
着いた日に、前任者の帳面を開いた。
合っていた。
左と右が、きれいに同じ数になっていた。
なのに、一行だけが赤く光って見えた。
この迷宮は三か月、黒字が続いている。
なのに迷宮の値段が、一枚も動いていない。
四百八十枚。
どこかに消えている。
俺は魔物を倒せない。剣も魔法も使えない。
できるのは、数えることだけだ。
だが、数が合わないことには気づく。
そしてこの帳面は、合わせてある。