あらすじ
三十歳まで童貞だと魔法使いになれる――。そんなネット上の噂を信じていた男は、三十歳の誕生日に魔法を使おうとするが、何も起こらなかった。
仕事もせず、親の庇護のもとで引きこもり生活を送る男は、自分の人生が報われなかった現実を受け入れられずにいた。そんなある日、ネットで見つけた有名声優のラジオ音声から、「六十歳まで童貞だったら極大魔法を使える」という言葉を耳にする。
男は、それまでの人生が無駄ではなかったと確信する。自分はまだ力を蓄えているだけなのだ。あと三十年待てば、世界を変え、すべての人間を跪かせるほどの力を手に入れられる。
それから三十年。両親を失い、財産も残りわずかとなった男は、六十歳の誕生日を目前に控えていた。長年信じ続けてきた夢が、ついに現実となる日がやってくる。
果たして、男を待ち受けるのは栄光か、絶望か、それとも想像を絶する何かなのか。
六十年にわたる妄想と執着の果てに、男の人生は三つの結末へと分岐する。