あらすじ

帰り際、夕立に昇降口に足止めされてしまった二人の高校生。マシンガントークを披露するオタクっぽいイズミと、そんなイズミに「キモ」としか答えない美少女トバリ。出会うはずのなかった二人が、夕立という奇跡のお陰で出会った時に起きた事。 *** 「雨ってのは突然振ったりしない。その前に必ず前兆がある。ツバメが低く飛んだり、猫が顔を洗ったり。俗説だと思われがちだけど、人間よりも鋭敏な感覚を持つ動物がその前兆を捉えて、何かしらのアクションを起こしているんだ。人間だって雨の匂いを感じ取れる鼻くらい持ち合わせているはずなのに天気予報なんて便利なものが流行り出してからは雨の予感というものを感じ取ることを諦めてしまった。これは実に問題だよ。生き物としての怠慢だ。人間はもっと自然に興味を持つべきだ。太陽と松明の炎だけが光をもたらしていた、かつてのように。そうは思わない?」 イズミはそこまで一気に捲し立てると溜息を吐き出した。実に深い溜息だった。そんなイズミの隣に座っていたトバリは、おそらく相槌を求められていたのであろうがたった一度も頷くことはなかった。その代わりに一言だけ呟いた。 「……キモ」

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2021/08/02
  • 現在の作品僕たちには雨の中を駆け出す勇気なんてなかった