あらすじ
麦と蜂蜜と葡萄酒が実り、慈悲深き神ミレトの加護に守られた美しい国、エルディア王国。
北辺の城塞ヴェルナを護る若き騎士団長ルシアは、部下たちを家族のように大切にし、日々を穏やかに過ごしていた。
月に一度、団員全員で食卓を囲む神聖な儀式「聖餐(せいさん)」。
温かい焼きたてのパンと笑顔があふれる食卓は、誰もが疑わない平和の象徴だった。
しかし、北方のザハーン帝国との戦端が開かれたことをきっかけに、凄惨な悲劇が騎士団を襲う。
一人、また一人と倒れていくかけがえのない仲間たち。
敵に作戦が漏れているかのような不自然な奇襲——騎士団の中に「内通者」がいるのか?
残された団員たちに深まる疑心暗鬼と、静かに忍び寄る影。
全てを「そばで見つめていた」語り手の視点を通して描かれる、美しくも残酷な運命の物語。
失われていく絆の先に待ち受ける、あまりにも切ない真実とは——。