あらすじ
放課後の理科室。
外では、雨が降っている。
窓際にいた少年は、入ってきた少女の傘を見て言った。
「集めてるんだ。標本」
「標本?」
「それ、標本にさせてくれない?」
他にも傘はいくらでもある。
それでも少年は、その傘でなければいけないという。
少女は傘を渡す代わりに、その傘で家まで送ってほしいと頼む。
けれど少年は断った。
標本にするから、もう使えない。
それなら――。
「雨が止むまでお話に付き合ってくれる?」
雨の日が嫌いな少女。
彼女の傘を標本にしたい少年。
どうして少女は、自分の傘を少年に渡すのか。
どうして少年は、その傘でなければいけないのか。
答えはまだ、お互いに教えない。
雨が止むまでの理科室で交わされる、二人の少し奇妙な会話の話。