あらすじ
事故で陰茎を失った、44歳の設備管理会社員・黒川慎吾。
二年後、治験によって最新型の人工ペニス《PGS-01》を装着し、ようやく普通の生活を取り戻した ── はずだった。
ある日、担当医から渡された銀色のケース。
中に入っていたのは、ドリル、高圧射出、ワイヤーアンカー、消火装置、超音波探傷機など、人工ペニスへ接続できる十種類の業務用アタッチメントだった。
しかも突然、開発会社がPGS-01の回収を決定。
「いや、使ってるんですけど」
会社は資産として返せと言い、慎吾は身体の一部として返す気などない。
逃げれば追われ、追われれば仕方なく使い、使えばだいたい何かが壊れる。
これは、ただ普通に暮らしたい中年男と、必要以上に進化してしまった義肢技術をめぐる、夢と希望とドリルに満ちたSFブラックコメディ。
── 身体の一部を失った人間は、元に戻るだけで満足しなければならないのか。
そんな少し真面目な問いを、だいぶふざけた方法で考える物語。