あらすじ
公爵令嬢ディオナ・アーレンスは、ある日突然、婚約者である王太子レオンから婚約破棄を告げられた。
「ディオナ。君との婚約を破棄する」
本来ならば、令嬢の人生を大きく狂わせるはずの言葉。
しかし、ディオナは笑顔で答えた。
「婚約破棄ですか! では、予定通り隣国へ行きますね」
実はディオナには、以前から隣国へ行く計画があった。
商業が盛んで、新しいことに挑戦する人間を歓迎する隣国。
そこには、かつて交流を持った隣国の王子カイルもいる。
婚約者との結婚だけが自分の人生ではない。
そう考えていたディオナは、婚約破棄される可能性まで考えて、ひそかに隣国へ行く準備を進めていたのだ。
父親の許しを得て国を出たディオナは、カイルのもとで新しい生活を始める。
そこで彼女は、自分が以前から考えていた商業や流通についての案を次々と提案し、隣国の発展に貢献していく。
婚約者を失った悲劇の令嬢。
――そんなものは、もうどこにもいなかった。
一方、ディオナを追い出したレオンの国では、少しずつ問題が起こり始める。
ディオナがこれまで担っていた仕事の重要性が明らかになり、彼女に対して向けられていた疑いも、次第に崩れていく。
そしてレオンはようやく気づく。
自分はディオナから婚約を奪ったのではない。
彼女を、自由にしてしまったのだ。
婚約破棄をきっかけに、人生を大きく変えた一人の令嬢。
これは、婚約破棄を「人生の終わり」ではなく、「人生の始まり」に変えてしまったディオナの物語。